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福岡高等裁判所 昭和36年(ラク)5号 決定 1961年3月28日

抗告人 逢坂茂

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

抗告人は本件抗告の理由として、当裁判所が昭和三五年(ラク)第一〇四号事件について昭和三六年一月二四日した抗告却下の決定は憲法第一四条第三二条第八一条に違背しているというけれども、その実は右決定が民事訴訟法及び民事訴訟規則に違反してなされたことを主張するものである。

右昭和三五年(ラク)第一〇四号事件は当裁判所が昭和三五年(ラ)第一一七号競落許可決定に対する抗告事件について昭和三五年一〇月二八日した抗告棄却の決定に対する抗告事件であつて、抗告人はその抗告理由中に憲法違背という字句を使用しているが、実質的にはなんら憲法違背を主張しているものではなく、単に一般法令の違反を主張しているに過ぎないものである。従つてかような場合においては民事訴訟規則第五三条によるけん欠の補正命令をしなければならない場合に該当しないものである。されば右補正命令をしないで抗告人の前記抗告を不適法として却下したことをもつて憲法違反なりとする本件抗告は結局一般法令の違反を主張するに帰し、最高裁判所に特別抗告のできる原裁判の憲法違背を理由とするものでないから不適法として却下すべきものである。

よつて民事訴訟法第四一九条の三、第三九九条第一項、第八九条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 竹下利之右衛門 小西信三 池畑祐治)

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